連載「AI初心者のための教科書」第5回/全10回
こんにちは、apro-incの業務改善・DXコンサルタント、AYAKAです。
突然ですが、あなたの会社では誰が議事録を書いていますか?
キヤノンマーケティングジャパンの調査によると、ビジネス関係者が議事録作成にかける時間は年間平均319.6時間。単純計算で、年間約40日間を議事録作成だけに費やしていることになります。
この時間を一気に短縮できるのが、WhisperとChatGPTの組み合わせです。1時間の会議の音声を約10分で議事録にする。この仕組みを今回は実践手順付きで解説します。
WhisperとChatGPT、それぞれの役割
この2つのAIは、それぞれ「得意なこと」が違います。
- Whisper(ウィスパー):OpenAIが開発した音声認識AI。会議の録音音声を高精度でテキスト(文字)に変換する。98言語に対応し、日本語の認識精度も高い
- ChatGPT:変換されたテキストを受け取り、要約・整理・フォーマット成形を行う。箇条書き・決定事項・次回アクションの抽出も可能
この2段階の流れが、議事録自動化の基本です。「音声→テキスト変換(Whisper)→構造化・整形(ChatGPT)」というシンプルな仕組みです。
まず知っておきたい「4つのルート」
Whisper+ChatGPTで議事録を自動化する方法は、技術レベルや予算に応じて大きく4つあります。自社に合ったルートを選んでください。

| 方法 | 難易度 | 費用 | おすすめ対象 |
|---|---|---|---|
| ①専用AI議事録ツール(Notta・Otolio等) | ★☆☆☆ 簡単 | 月3,000〜6,000円 | 今すぐ使いたい方・ITが苦手な方 |
| ②ChatGPT+Whisper API(本記事メイン) | ★★☆☆ やや簡単 | 従量課金(月数百円〜) | コストを抑えたい方・仕組みを知りたい方 |
| ③Zoom/Teams内蔵AI文字起こし | ★☆☆☆ 簡単 | 既存プラン内(有料プラン) | Zoom・Teams有料ユーザー |
| ④自社システムへのAPI組み込み | ★★★★ 難 | 開発コスト+API費用 | IT担当者がいる企業・本格導入 |
今すぐ手軽に始めたい方は①の専用ツールが最も簡単です。本記事では、コストを抑えながら仕組みを理解できる②ChatGPT+Whisper APIの手順をメインに解説します。
実践手順:ノーコードで始めるWhisper+ChatGPT

STEP 1:会議を録音する
スマートフォンのボイスメモアプリ、ZoomやTeamsの録音機能、専用ICレコーダーなど、どんな方法でも構いません。音声ファイル(MP3・M4A・WAV)として保存します。
ポイント:できるだけ雑音の少ない環境で録音し、話者ごとにマイクを近づけると文字起こし精度が上がります。
STEP 2:Whisperで文字起こしする
コードが書けない方には、以下の2つの方法がおすすめです。
- 方法A)OpenAIの公式ChatGPT(Plusプラン以上)でファイルをアップロード:音声ファイルをそのままChatGPTにアップロードし「文字起こしをしてください」と入力するだけ。追加設定不要
- 方法B)専用の文字起こしサービスを経由:Notta・PLAUD NOTEなどの専用ツールでWhisper APIを内部使用して文字起こし後、テキストをコピー
※目安:1時間の会議音声 → 文字起こし完了まで約10分。
STEP 3:ChatGPTで議事録に整形する
STEP2で得たテキストをChatGPTに貼り付け、以下のプロンプトを使います。
| 💬 議事録生成プロンプト(コピペOK) 以下の会議の文字起こしをもとに、議事録を作成してください。 【出力フォーマット】 ・会議概要(日時・参加者・目的) ・主な議題と議論内容(箇条書き) ・決定事項(箇条書き) ・次回アクション(担当者・期限付き) ・次回議題(あれば) 【条件】 ・1,200字以内でまとめる ・専門用語は平易な言葉で補足する ・誤字・言い間違いは内容から推測して修正する 【文字起こし】 (ここに文字起こしのテキストを貼り付ける) |
さらに精度を上げる3つのコツ
1.会議前に「アジェンダ」をプロンプトに追加する:「この会議のアジェンダは①〇〇、②〇〇です」と添えると、ChatGPTが議論の流れを正確に整理してくれます
2.話者名を事前に伝える:「参加者は田中(進行)・佐藤(営業)・鈴木(技術)です」と入れると、発言の文脈が明確になり精度が上がります
3.長時間会議は分割して処理:1時間超の会議は前半・後半に分けてそれぞれ文字起こし→要約し、最後にまとめると精度が安定します
利用時の注意点
- 機密情報は外部サービスに入力しない:重要な事業情報・個人情報を含む会議は、Businessプラン(データ学習なし)またはオンプレミス型ツールを使用してください
- AIの出力は必ず人間がチェック:固有名詞・数値・固有の技術用語などは誤変換が起きやすいです。送付前に必ず確認を
- 録音の同意を得る:参加者全員に録音・AI処理の旨を事前に伝え、同意を確認してから実施しましょう
AYAKA’s View
議事録作成を誰かが担当することの「見えないコスト」は、想像以上に大きいです。書いている時間だけでなく、「書かなければいけないプレッシャー」が会議中の集中を妨げていることも見逃せません。
AIに議事録を任せることで、参加者全員が「聞くこと・考えること」に集中できる会議に変わります。ツールを使い始めて最初の1回で、その違いを実感できると思います。
次回(第6回)は「資料作り・提案書をAIと一緒に仕上げる『プロンプトの型』」をお届けします!
※次回は来週月曜日に公開予定です!
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