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【週末コラム】八月になりました|夏の匂いと、記憶のふしぎ

2026.08.01

こんにちは、apro-incの業務改善・DXコンサルタント、AYAKAです。

八月になりました。

先日、夕方に外を歩いていたら、雨上がりのアスファルトの、あの独特の匂いがしました。熱を持った地面が濡れて立ちのぼる、湿った土のような匂い。その瞬間、なぜか、子どもの頃の夏の夕方が、ぱっと目の前に浮かんだんです。祖母の家の庭。まだ明るい空。遠くで鳴っていた誰かの家のテレビの音。

不思議ですよね。写真を見たわけでも、誰かに話を聞いたわけでもないのに、匂いひとつで、何十年も前の景色が、これほど鮮やかによみがえる。しかも、その匂いを嗅ぐまでは、そんな記憶があることすら忘れていたのに。

今日は週末コラムとして、この「匂いと記憶」の不思議について、少し書いてみたいと思います。八月の始まりの土曜日、のんびり読んでいただけたら。

夏は、匂いの多い季節

考えてみると、夏はほかの季節に比べて、匂いが濃い気がします。

蚊取り線香。日焼け止め。プールの塩素。切ったばかりの草。屋台のソースが焦げる匂い。夕立のあとの土。冷房の効いた部屋から外に出た瞬間の、むわっとした熱気。夏という季節は、暑さのせいなのか、いろいろなものの匂いが立ちのぼりやすいのかもしれません。

そして、その一つひとつに、たいてい記憶がくっついています。蚊取り線香なら、縁側や祖父母の家。塩素なら、小学校のプール。草の匂いなら、部活の夕方や、田舎道。特別な出来事の記憶ではなく、なんでもない日常の風景であることが多いのも、面白いところです。大事な思い出として大切にしまっておいたものではなく、忘れていたはずの、なんでもない一日。それが、匂いをきっかけに、ふいに戻ってくる。

たぶん、匂いというのは、頭で覚えるものではなく、体のどこか深いところに、直接しみこむものなんでしょうね。だから、理屈を飛び越えて、いきなり景色を連れてくる。

思い出せないものが、まだたくさんある

この、匂いの記憶で少し切ないのは、自分では取り出せないことです。

「あの夏を思い出そう」と念じても、出てきません。でも、たまたま同じ匂いに出会った瞬間、勝手によみがえる。ということは、私たちの中には、まだ引き出されていない記憶が、たくさん眠っているということですよね。きっかけがないだけで、忘れたわけではない。この先、思いがけない場所で、思いがけない匂いに出会って、また何かを思い出すのかもしれない。そう考えると、なんだか、少し楽しみでもあります。

年を重ねると、新しい体験は減っていくと言われます。でも、記憶のほうは、増え続けているんですよね。しかも、自分が覚えていると自覚しているものより、ずっとたくさん。夏の匂いに立ち止まるたび、私は、自分の中にある見えない引き出しの多さに、少し驚きます。

職場にも、たぶん「匂い」がある

ここから少しだけ、仕事の話に寄せさせてください。

匂いのように、言葉にならないまま体に残るものは、職場にもあると思うんです。空気感、と言ってもいいかもしれません。入った瞬間に感じる、その会社の雰囲気。誰も説明してくれないけれど、なんとなく伝わってくる、ぴりぴりした感じや、ゆるやかな感じ。

私は仕事柄、いろいろな会社にお邪魔しますが、玄関を入った瞬間に、けっこういろいろなことが分かってしまいます。挨拶の様子、机の上、人の動き方。そして何より、そこに流れている空気。以前、変化に強いチームの話を書いたときにも触れましたが、この空気は、中にいる人には、いちばん見えにくいものです。毎日その中にいると、自分の家の匂いが分からなくなるのと同じで、慣れてしまうんですよね。

新しく入った人が、最初に感じる違和感。それは、職場の「匂い」を、いちばん敏感に嗅ぎ取っている状態かもしれません。でも、たいてい数か月もすると、その人も慣れてしまって、何も感じなくなる。だから、その最初の感覚は、実はとても貴重なものなんです。

八月の始まりに、こんなことを書くのも妙かもしれませんが。もし機会があったら、自分の職場に、どんな空気が流れているのか、少しだけ意識してみてください。慣れきってしまう前の誰かに、聞いてみるのもいいと思います。「うちの会社、入ったときどう感じた?」と。案外、はっとする答えが返ってくるかもしれません。

AYAKA’s View

外部の人間である私にできることのひとつは、その会社の「匂い」を、まだ嗅ぎ分けられる立場にいる、ということだと思っています。中にいる方が慣れてしまった空気を、初めて訪れる者として感じ取り、言葉にしてお伝えする。それは、仕組みの改善とは違う形の、でも同じくらい大事なお手伝いだと感じています。

もちろん、悪いところを指摘するためではありません。良い空気が流れている会社では、それをちゃんと言葉にしてお伝えしたい。中にいると当たり前すぎて気づいていない強みが、外から見ると、はっきり見えることがありますから。「うちの職場、外から見るとどう見えるんだろう」。もし少しでも気になったら、ぜひ声をかけてください。改善のご相談でなくても構いません。まずは、御社の空気を、感じさせていただくところから。八月の始まり、暑い日が続きます。どうぞ、ご自愛ください。よい週末を。


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