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業務改善

「なんのためにやってるんだっけ」を、たまに問い直す|目的を見失わないために

2026.08.03

こんにちは、apro-incの業務改善・DXコンサルタント、AYAKAです。

先日、ある会社で、毎週作られているという報告書を見せていただきました。なかなか手の込んだ資料です。「これは、どなたが、どう使われているんですか」とお聞きしたら、担当の方が、少し困った顔で、こうおっしゃったんです。「そういえば、誰が見てるんでしょうね・・・」。

責めているのではありません。むしろ、これは、とてもよくあることなんです。始めた頃には、ちゃんと理由があった。でも、続けているうちに、いつのまにか「作ること」そのものが目的になって、なんのために作っているのかが、抜け落ちてしまう。今日は、この「手段が目的になる」という、誰にでも起こる現象について、お話しさせてください。八月に入って、少し立ち止まりやすい時期でもありますしね。

手段は、いつのまにか目的になる

私たちの仕事は、ほとんどが「何かのための手段」として始まります。この報告書は、状況を共有するため。この会議は、方針を決めるため。このチェックは、ミスを防ぐため。最初は、目的がはっきりしています。

ところが、毎日毎日それを繰り返しているうちに、だんだん、手段のほうだけが、独り歩きを始めるんですよね。「報告書を作る」ことが仕事になり、「会議に出る」ことが仕事になり、「チェックする」ことが仕事になる。その奥にあったはずの「なんのために」は、忙しさの中で、静かに忘れられていく。気づけば、目的を果たすための手段が、いつのまにか、それ自体が守るべきものに変わっている。

これは、能力とか意識とかの問題ではありません。人間は、繰り返すことを自動化して、頭を使わずにこなせるようにできています。それ自体は、効率のためのすばらしい仕組みです。でも、その自動化には、副作用があって、「なんのためにやっているか」を、考えなくなってしまう。慣れれば慣れるほど、目的が見えなくなる。皮肉な話ですよね。

目的を見失った仕事は、静かに増えていく

目的を見失うことの、何が問題なのか。それは、目的を見失った仕事が、なかなか減らないことです。

以前、「やめる業務の見極め方」という話を書きました。惰性で続いている業務を手放そう、という話です。でも、目的を見失った仕事というのは、まさにこの「惰性の業務」の温床なんです。なんのためにやっているか分からないから、やめていいかどうかも判断できない。「昔からやっているから」という理由だけで、ずっと残り続ける。そうやって、目的の抜けた作業が、少しずつ職場に積もっていきます。

しかも、やっかいなことに、目的を見失った仕事ほど、まじめにやられていたりします。誰も「なんのため」と問わないまま、みんなが一生懸命、その手段をこなしている。その労力が、本当に必要なことに向けられていたら、と思うと、もったいないんですよね。忙しさの中身が、実は「目的を見失った作業」で埋まっている。そういうことは、けっこうあるのです。

たまに、「なんのため」と問い直す

じゃあ、どうすればいいか。難しいことではありません。たまに、立ち止まって、「これ、なんのためにやってるんだっけ」と、自分に問い直すだけです。

毎日やる必要はありません。むしろ、忙しい日々の中では、そんな余裕はないでしょう。だからこそ、お盆前のこの時期のような、少し立ち止まれるタイミングが、ちょうどいいんです。ふだん当たり前にやっている仕事を、ひとつかふたつ選んで、「そもそも、これはなんのためだったかな」と、問い直してみる。

問い直してみると、たいてい、三つのどれかに分かれます。ひとつは、「ああ、ちゃんと意味があった」と再確認できるもの。これは、そのまま続ければいい。むしろ、目的を思い出せて、やる気が戻ってきたりします。ふたつめは、「目的はあるけど、今のやり方は変えられそう」というもの。目的に立ち返ると、もっと楽な手段が見えてくることがあります。そして三つめが、「これ、もう目的がないな」というもの。冒頭の報告書のような、誰も使っていない仕事です。これは、やめる候補です。

この問い直しの、いちばんいいところは、目的に立ち返ることで、仕事に「芯」が戻ってくることだと思います。なんのためかが分かっている仕事は、同じ作業でも、力の入り方が違う。逆に、目的の分からない作業をこなし続けるのは、じわじわと気力を削ります。「なんのため」を取り戻すことは、効率の問題であると同時に、働く人が意味を感じて働けるかどうか、という問題でもあるんです。

もし今、「なんだか忙しいのに、手応えがない」と感じているなら、その忙しさの中に、目的を見失った作業が、混じっているのかもしれません。とはいえ、日々その中にいると、どれが「なんのため」を見失った仕事なのか、自分では気づきにくいものです。慣れてしまっているぶん、当たり前に見えてしまう。apro-incでは、御社の業務を一緒に棚卸しして、「これは、なんのため」を一つひとつ問い直すお手伝いをしています。外の人間が「これは、何のためですか」と素朴に問うだけで、はっとする発見が生まれることは、本当に多いのです。「忙しいのに前に進んでいる気がしない」「やめられる仕事がある気はするが、見極められない」と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。仕事に、目的という芯を、一緒に取り戻しましょう。

AYAKA’s View

私が会社にお邪魔して、いちばんよくする質問が、この「これは、なんのためですか」なんです。意地悪で聞いているのではありません。ただ、外から来た人間には、その仕事の「当たり前」がないので、素朴に疑問に思うだけなんですよね。そして、その素朴な問いに、その場で答えが出ないとき、そこに改善の入り口があることが多いのです。

中にいると、「なんのため」を問うのは、意外と難しいことです。ずっとやってきたことを疑うのは、どこか、これまでの自分を否定するようで、勇気がいる。だから、私のような外部の人間が、その問いを代わりに持ち込む役割を果たせたら、と思っています。責めるためではなく、一緒に「そもそも」を考えるために。この夏、少し時間ができたら、ご自身の仕事を、ひとつ問い直してみてください。そして、一人では答えの出ないものがあれば、いつでも声をかけてください。よい一週間を。


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