DX(デジタルトランスフォーメーション)は「デジタル技術を活用して、業務プロセスやビジネスモデルを抜本的に変革すること」を指します。
単なるITツールの導入や業務のデジタル化にとどまらず、組織文化や価値観、働き方そのものを変える取り組みです。しかし最近では、「DX」という言葉が独り歩きし、正しい理解や実践が追いついていない現状も見られます。
例えば、2021年のデジタル庁の発足以降、日本全体でデジタル化が加速しています。マイナンバーカードを健康保険証として利用する制度が2024年12月に始まるマイナ保険証も、その一環です。しかし、多くの中小企業では「デジタル化」の必要性を認識していても、「DX化」とは何が違うのか、どこまで対応すべきかを迷っているのではないでしょうか?
このサイトでは中小企業でDXを活用して、業務効率化をどのように実現していくのかを解説していきます。
はじめに:デジタル化とDX化の違いを理解しよう
さっきも言ってたけど、『デジタル化』と『DX化』って何が違うの?ウチみたいな中小企業がやるべきなのは、どっちなんだろう?
良い質問ですね!ここが重要なポイントです。デジタル化とは、アナログな情報や作業をデジタル技術で置き換えることを指します。たとえば、紙の請求書を電子データにしたり、ファイルをクラウドに保存する作業がデジタル化の一例なんだよ。
それだけならウチも少しやってるかも。Excelで在庫管理を始めたのは、まさにそのデジタル化ってことかな?
そうですよね。でも、それはあくまで第一歩です。DX化では、その技術を活用して『業務全体を見直し、効率化や新しい価値を創造する』ことが求められるんだよ。たとえば、在庫管理なら、Excelを使うだけではなく、データをクラウド上に反映して、リアルタイムで在庫状況を把握し、仕入れのタイミングを最適化する、といった仕組みを作るところまでがDXだよね。
なるほど。単にツールを使うだけじゃなくて、全体の仕組みを変えるのがDXなんですね。でも、それって結構ハードル高そうですよね?
「確かにそう思うかもしれないよね。でも、小さな改善から始めることが大きな業務効率化につながるんだよ。たとえば、この10月に郵便料金が値上げされたよね?請求書を送り企業にとって、時間も労力も掛かるし、郵送するコストまで上がってしまう。だから最近では請求書は電子データで発行して、メールで送ったり、請求書発行のツールを使って発行するケースも増えてきているよね?
それって、ただ効率化するだけじゃなくて、もっと戦略的な使い方ができるってことですね!
その通り!でも、ここで注意したいのは、政府が進めているデジタル化政策も同様に、中小企業に課題を突きつけていることです。たとえば、マイナンバーカードを健康保険証として使う制度に対応するためには、企業が従業員の情報をデジタルで管理する仕組みを整えならないよね?なかなか最初の一歩をどうやって進めていいかわからない経営者も多いのが実情だよね。
そうだね。今は行政でも急速にデジタル化が進んでいますよね。ハンコも押印するケースも減ってきていますよね?でもウチの会社はまだ紙ベースの管理が多いし、移行するには手間もかかるし大変そうだな。
多くの中小企業が同じ課題を抱えているのが実情なんだよね。ただ、これを乗り越えなければ、今後の事業運営に支障をきたす可能性もああるから、DX化は『進めるかどうか』ではなく、『どう進めるか』を考えるべき時期に来ているんです。
確かに、競争力を高めるためだけじゃなく、会社が生き残るためにも必要ってことですね。具体的にどう進めればいいか、もっと詳しく教えてもらえますか?
もちろんです。まずは中小企業がDXを進める上で直面する課題を明らかにするところから始めましょう。それを解決する糸口を次の章で一緒に探っていきましょう。
この章でのまとめ
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なるデジタル技術の導入にとどまらず、業務全体の見直しや新しい価値の創造を目指す取り組みです。
デジタル化とDX化の違い
デジタル化
アナログな情報や手作業をデジタル技術で置き換えること。
例:紙の請求書を電子データ化。
DXの世界では「デジタイゼーション」と位置づけられます
DX化
デジタル技術を活用して、業務全体を効率化し、価値を生み出す仕組みを作ること。
例:クラウドでリアルタイム管理を導入し、意思決定を迅速化。
DXの世界では「デジタライゼーション」と位置づけられます
次章では、中小企業がDXを推進する上で直面する具体的な課題について掘り下げていきます。DX化を阻む障壁を把握することで、どこから始めればよいかが見えてくるでしょう。