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週末コラム

【海の日特集】航路を決めるのは、船長ひとり|「明治丸」150年に、経営の舵取りを思う

2026.07.20

こんにちは、apro-incの業務改善・DXコンサルタント、AYAKAです。

今日は海の日ですね。三連休の最終日、ゆっくり過ごされている方も多いでしょうか。

海の日の由来をたどると、少し面白い話に行き当たります。今からちょうど150年前、明治9年(1876年)の7月20日。明治天皇が「明治丸」という船に乗って、東北・北海道の巡幸から横浜港へ、無事に帰ってこられた。この出来事が、のちの「海の日」のもとになったそうです。当時としては、船で長い航海を終えて無事に港に着くというのは、それだけで大きな意味を持つことだったのでしょう。150年前の夏に、一隻の船が港に帰り着いた。そのことが、こうして今も祝日として残っている。なんだか、いいなあと思うのです。

せっかくの海の日なので、今日は少し肩の力を抜いて、「航海」と「経営」について、思うところを綴ってみたいと思います。この二つ、実は驚くほど似ているんですよね。

港を出る、ということ

船が港を出るとき、船長の頭の中には、行き先があります。あの港へ、この航路で向かう。そう決めて、船は動き出します。

会社も、同じです。「うちは、こういう会社になりたい」「この方向へ進もう」。その行き先を定めるからこそ、日々の仕事に意味が生まれます。行き先の決まっていない船が、ただ波に揺られて漂うだけになってしまうように、進む方向の定まっていない会社は、日々の忙しさの中を、なんとなく漂ってしまう。以前、「来週を設計する人と流される人」という話を書きましたが、これは会社という船にも、そのまま当てはまることなんですよね。

でも、港を出るのには、勇気がいります。港の中は安全です。揺れも少ないし、慣れている。それでも、船は港にいるためのものではなく、海を渡るためのものです。安全な港にとどまり続けていては、どこにもたどり着けない。変化のこわさを乗り越えて、それでも港を出る。その最初の決断が、すべての航海の始まりなのだと思います。

海の上では、思い通りにいかない

そして、いざ港を出れば、海はたいてい、こちらの思い通りにはいきません。

穏やかだと思っていたのに、急に風が変わる。予定していた航路が、使えなくなる。霧が出て、先が見えなくなる。どんなに周到に計画を立てても、海の上では、想定外のことが次々に起こります。これも、経営とまったく同じですよね。立てた計画通りに進む事業なんて、まず、ありません。市場が変わり、お客様が変わり、思いがけないことが起こる。

大事なのは、計画通りにいかないことを嘆くことではなくて、変わっていく状況の中で、そのつど舵を切り直していくことです。目指す港は変えなくていい。でも、そこへ至る航路は、風と波を見ながら、柔軟に変えていく。この「目的地は変えず、進み方は変える」という舵取りこそ、航海の腕の見せどころであり、経営のいちばん難しいところでもあるのだと思います。

舵を握る、その孤独

ここからは、少し、経営者の方に向けた話になるかもしれません。

船の上には、たくさんの乗組員がいます。それぞれが役割を果たし、船は進んでいく。でも、最終的に「どちらへ舵を切るか」を決めるのは、船長ただ一人です。嵐の中で、進むか退くか。この航路でいくか、変えるか。その決断の重さは、船長ひとりの肩にかかっています。そして、その孤独は、たぶん、乗組員には見えていません。

経営者の方とお話ししていると、この「舵を握る孤独」を、ひしひしと感じることがあります。会社の進む方向を最終的に決めるのは、自分ひとり。相談できる相手もそういない中で、重い決断を下し続けなければならない。うまくいって当たり前、間違えれば、みんなの生活がかかっている。その重圧は、外からは、なかなか分かってもらえないものです。

でも、と思うのです。船長は、一人で舵を握っていても、一人で航海しているわけではありません。海図を一緒に見てくれる航海士がいて、天候を読む仲間がいる。舵を握る決断そのものは船長のものでも、その決断を助ける存在は、いてもいいはずなんです。むしろ、大事な決断だからこそ、一緒に海図を広げてくれる相手がいることには、大きな意味があります。

海図を、一緒に広げる

apro-incがしているお手伝いは、言ってみれば、この「航海士」のような役割なのかもしれない、と、この記事を書きながら思いました。

舵を握るのは、あくまで経営者であるあなたです。そこを奪うつもりは、まったくありません。会社の進む方向を決めるのは、その船をいちばんよく知る、あなた自身であるべきですから。でも、その決断のために、海図を一緒に広げて、「今、どのあたりにいるのか」「どんな航路があるのか」「この風なら、こう進めそうですよ」と、隣で一緒に考える。その役割なら、外の人間である私が、お役に立てます。

とくに、業務改善やDXというのは、航海でいえば、船そのものの整備や、より良い進み方の工夫のようなものです。船底に藤壺がついて重くなっていないか。もっと効率のいい帆の張り方はないか。そういった、日々の航海を軽やかにする工夫を、一緒に見つけていく。目的地へ、より速く、より確実に、そしてより穏やかにたどり着けるように。それが、私たちの仕事です。

海の日の今日、もしお時間があれば、ご自身の会社という船が、今どこを目指し、どのあたりを進んでいるのか、少し思い描いてみてください。そして、その航海に、一緒に海図を広げる相手が必要だと感じたら、いつでも声をかけてください。150年前、一隻の船が無事に港へ帰り着いたように、あなたの船が、目指す港へたどり着くお手伝いを、精一杯させていただきます。

AYAKA’s View

私がこの仕事で大切にしているのは、決して「船を乗っ取らない」ことです。外から来たコンサルタントが、さも正解を知っているかのように舵を奪ってしまっては、その会社らしい航海はできなくなってしまいます。船のことをいちばんよく知り、その行き先を決める権利を持つのは、あくまで、その船を率いてきた方です。

でも、舵取りの孤独を、少しだけ分かち合うことはできます。重い決断の前に、一緒に海図を広げ、選べる航路を並べ、それぞれの先に何がありそうかを、一緒に考える。決めるのはあなたでも、その手前の思考を、一人で抱えなくてよくなる。それだけでも、航海はずいぶん楽になるはずです。海の日の今日、ふと「この先の航路、一人で考えるのは心細いな」と感じることがあれば、その気持ちを、ぜひ聞かせてください。一緒に海図を広げるところから、始めましょう。よい海の日を、そして、よい夏をお過ごしください。


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