「あの人が休むと回らない」を、夏休み前に見直す|不在に強い体制のつくり方

こんにちは、apro-incの業務改善・DXコンサルタント、AYAKAです。
そろそろ、夏季休暇の予定を出す時期でしょうか。社内のカレンダーに、少しずつ「休」の文字が並び始める頃だと思います。
ある会社で、休暇の申請書を眺めながら、管理職の方がぽつりとおっしゃったことがあります。「うーん、この週にこの人が抜けるのは、ちょっときついな」。誰かが休むことに、内心ひやりとする。この感覚、身に覚えのある方は多いのではないでしょうか。
でも、これって、よく考えるとおかしな話なんですよね。人が休むのは、当然の権利です。それなのに、誰かが休むだけで業務が止まりそうになる。その状態のほうが、本当は問題なんです。今日は、夏休みという切り口から、「あの人が休むと回らない」を見直す話をさせてください。
休みは、いちばん正直な「点検の機会」
以前、業務の標準化についてお話ししたことがあります。「あの人にしかできない」をなくしましょう、という話でした。ただ、正直なところ、属人化って、普段はなかなか実感しにくいんですよね。その人が毎日いてくれる限り、業務は回ってしまうので、問題が表に出てこない。
でも、夏季休暇のシーズンは違います。人がまとまって休むことで、隠れていた属人化が、いっせいに姿を現します。「あれ、この処理、誰もやり方を知らないぞ」「この件、あの人しか経緯が分からない」。困った事態ではあるのですが、見方を変えれば、これは自社の弱点を教えてくれる、またとない機会でもあります。以前、繁忙期は業務の詰まりどころが見える宝の山だ、というお話をしましたが、休暇シーズンも、まったく同じなんです。
だから、この時期に「あの人が休むと困る」と感じたら、それをただの困りごとで終わらせないでほしいのです。そこにこそ、手を打つべき場所が、はっきり示されているのですから。
「引き継ぎを頑張る」だけでは、また来年も同じ
とはいえ、多くの職場では、休暇前になると「しっかり引き継いでおいてね」という話になります。もちろん、それは大事です。でも、それだけだと、たぶん来年も、再来年も、同じことを繰り返すことになります。
なぜなら、引き継ぎというのは、あくまでその場しのぎだからです。休む本人が慌ててメモを書いて、周りが何とか乗り切って、本人が戻ってきたら、また元通り。業務は、その人の頭の中に戻っていきます。そして翌年、また同じように慌てる。この繰り返しに、心当たりはないでしょうか。
本当に必要なのは、「休む前に引き継ぐ」ことではなくて、「普段から、その人がいなくても分かる状態にしておく」ことなんですよね。つまり、休暇のための特別な準備ではなく、日常の仕事の中に、情報を残す仕組みを埋め込んでおくということです。そうすれば、誰かが急に休んでも、慌てずに済みます。夏休みだけでなく、突然の体調不良や、家庭の事情による休みにも、対応できるようになります。
まずは、いちばん怖いところをひとつ
じゃあ、日常の中でどう仕組みにするか。ここでも、いきなり全部をやろうとしないことが大事です。この夏の休暇に向けて、いちばん「その人が抜けたら怖い」と感じる業務を、ひとつだけ選んでみてください。
そして、その業務について、本人に少しだけ時間を取ってもらって、手順や勘どころを、形にして残す。完璧なマニュアルでなくて構いません。箇条書きでも、画面のスクリーンショットでも、いいんです。大事なのは、その人の頭の中にしかない情報を、一度、外に出しておくこと。これだけで、その業務の属人化は、ぐっと薄まります。
そして、ここが肝心なのですが、その残したものを、実際に「別の人がやってみる」機会を、休みの前に一度つくれるとなお良いです。読んで分かった気になっていても、いざやってみると詰まるところが必ず出てきます。その詰まりを、本人がいるうちに埋めておく。休んでから「やっぱり分からない」となるのでは、遅いですから。ここまでやっておけると、休む本人も、安心して休めます。
実は、これがいちばん大きいのかもしれません。「自分が休んだら迷惑がかかる」と思いながら休む人は、心から休めないんですよね。せっかくの夏休みなのに、電話が鳴らないかと気にして、頭のどこかで仕事のことを考えている。それでは、休んだことになりません。不在に強い体制をつくることは、業務のためだけでなく、働く人が、後ろめたさなく休めるようにするためでもあるんです。
もし今、夏季休暇の予定表を見ながら、内心ひやひやしているなら。その不安は、今年の夏を乗り切ったあと、ちゃんと手当てすることができます。「毎年この時期になると同じ心配をしている」「特定の人の休みが、いつも怖い」と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。apro-incでは、どの業務から手をつけるべきかの見極めから、無理のない形で情報を残す仕組みづくり、そして現場への定着まで、一緒に進めます。来年の夏は、誰が休んでも、静かに回る。そんな状態を、一緒につくっていきましょう。
AYAKA’s View
「あの人が休むと回らない」という状態は、その人がすごく頼りにされている証でもあります。だから、これを「問題だ」と言われると、当のご本人は、少し複雑な気持ちになることがあるんですよね。自分の価値が否定されたように感じてしまう。以前もお話ししましたが、ここは本当に、丁寧に扱いたいところです。
でも私は、その方にこそ、心置きなく休んでほしいと思っているんです。いつも会社を支えてくれている人が、夏休みくらい、電話を気にせず、ゆっくり過ごせる。そのために体制を整える。そう伝えると、たいていの方は、ほっとした顔をされます。属人化の解消は、誰かを不要にすることでは、まったくありません。頼られている人が、安心して休めるようにすることです。この夏、そんな体制づくりを考えたい方は、いつでも声をかけてください。まずは、いちばん怖いところを、ひとつだけ。そこから始めましょう。

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