はじめに
kintoneは、部署やプロジェクトごとに「スペース(掲示板やアプリの集まり)」を作成し、情報共有や業務管理を効率化できるツールです。
その中でも「ゲストスペース」は、外部のパートナーや取引先とデータをやり取りする際に便利ですが、設計段階で注意すべき制約があることをご存知でしょうか?

かずや
この記事では、通常スペースとゲストスペースの違いを整理しながら、具体的な活用例と注意点を解説します。
通常スペースとゲストスペースの違い
項目 | 通常スペース | ゲストスペース |
利用対象 | 社内ユーザー | 社外ユーザー(ゲスト)を招待可能 |
招待方法 | 自社のkintoneユーザーのみ | メールでゲストを招待(kintone未契約でもOK) |
アプリの設置 | 可能 | 可能 |
アプリ間の連携 | 他のスペースや全社アプリとも連携可能 | ゲストスペース内のアプリ間のみ連携可能 |
API連携 | 可能 | 可能(ただしゲストスペース用のAPIキーが必要) |
具体例で見る、アプリ連携の落とし穴
▼事例:顧客とのプロジェクト共有にゲストスペースを使ったが…
背景
とある企業では、クライアントと進捗を共有するために、ゲストスペース内に以下のようなアプリを用意しました。
- 進捗管理アプリ(ゲストスペース内)
- ファイル共有アプリ(ゲストスペース内)
同時に、社内では以下の通常スペースにアプリがあります。
- 工数管理アプリ(通常スペース)
- 営業案件アプリ(通常スペース)
問題発生
営業案件アプリと進捗管理アプリのレコードをルックアップでつなげようとしたところ、連携できないことが発覚。
理由は、「ゲストスペースのアプリは、他のスペースのアプリと連携できない」という仕様制限です。
設計時に考慮すべきポイント
- 連携が必要なデータは、どのスペースにあるべきか?
→ ゲストスペースでは完結できない情報連携がある場合は、ゲストスペース外の利用を検討する。 - 業務フローのどの部分を外部共有したいのか?
→ 共有すべき最低限の情報だけをゲストスペースに配置し、それ以外は社内管理に限定。 - 必要に応じて「API連携」や「Webhook」での代替を設計する
→ ゲストスペースと通常スペースを連携させるには、JavaScriptや外部ツールを使ったAPI連携が必要になる。
活用シーンの使い分けガイド
シーン | 推奨スペース | 理由 |
社内でのプロジェクト管理 | 通常スペース | 部署横断のアプリ連携が可能なため |
クライアントとのやりとり | ゲストスペース | セキュアに社外ユーザーを招待できる |
受発注業務の進捗共有 | ゲストスペース + 通常スペース | 社外との共有用アプリと、社内の詳細管理アプリを分離設計 |
まとめ:ゲストスペースの「分離性」を理解して設計を
ゲストスペースは非常に便利な仕組みですが、その連携制限を知らずに設計を進めてしまうと、後から大きな修正が必要になる場合があります。
業務に必要なアプリ同士の「つながり」がある場合は、どのアプリをどこに置くべきか、事前に設計を見直すことが不可欠です。
あとがき:設計前に相談できるパートナーがいると安心

かずや
初めてkintoneの設計を行う際、「スペースの使い分け」は盲点になりがちです。
もし現在、ゲストスペースの活用やアプリ連携の設計で悩んでいる方がいれば、設計段階でのレビューや、より柔軟なアーキテクチャの提案が可能です。
お気軽にご相談ください。