業務を「整理する」前に「捨てる」 BPRで本当の意味の効率化を実現する方法

中小企業のDX

こんにちは、apro-incの業務改善・DXコンサルタント、AYAKAです。

「クラウドを導入したのに、業務量は全然減らない」、そういう経営者の方から相談を受けることがあります。話を聞いてみると、決まって同じ構造に行き当たります。「業務をデジタル化したが、業務そのものは見直していなかった」というパターンです。

2026年のDXトレンドとして注目されているのが「BPR(Business Process Re-engineering=業務プロセス再設計)」です。ツールを入れる前に「この業務、そもそも必要か?」と問う発想の転換。これこそが、本当の意味での効率化の第一歩です。

BPRとは何か 「改善」ではなく「再設計」

BPR(業務プロセス再設計)とは、既存の業務フローをゼロベースで根本から見直し、再構築する取り組みです。1993年にマイケル・ハマーとジェイムズ・チャンピーが提唱した手法で、「コスト・品質・スピードを劇的に改善するために、業務プロセスを根本的に考え直し、抜本的にデザインし直すこと」と定義されています。

業務改善(カイゼン)との最大の違いは「前提を疑うかどうか」です。業務改善は既存の流れを維持しながら部分的に直すのに対し、BPRは「この業務は本当に必要か?」という問いからスタートします。今あるやり方を「なかったこと」にして、理想のプロセスを描き直す、これがBPRの本質です。

「ツールより先に捨てる」 BPRが最初に来る理由

古い業務フローのままにツールを導入しても効果は半減します。非効率なプロセスをそのままデジタル化すると、「非効率がデジタルで速くなる」だけで、本質的な問題は何も解決されません。

BPRをツール導入の前に行うことで、「そもそも自動化する必要がない業務だった」「2工程が1工程にまとめられた」という発見が必ず出てきます。捨てることで浮いた時間・人員・コストが、本当に価値ある業務への投資になります。

BPRの核心:ECRSフレームワーク

業務プロセスを再設計するときに最も使われるフレームワークが「ECRS(イクルス)」です。E→C→R→Sの順に効果が大きくなるため、必ずこの順番で検討することが推奨されています。

順番アクション意味中小企業での具体例
EEliminate(排除)その業務を「なくす」。効果が最も大きい誰も読まない日報・形骸化した週次会議・重複している確認メール
CCombine(結合)複数の業務を「まとめる」別々に行っていた確認・承認フローを1工程に統合する
RRearrange(交換)業務の順番・担当・手段を「入れ替える」手作業の入力をシステム連携に切り替え・外注化の検討
SSimplify(簡素化)業務の手順を「シンプルにする」メールのテンプレート化・入力項目の削減・承認ステップの圧縮

最初の「E(排除)」が最も効果が大きい理由は、ツールも人員も不要になるからです。廃止できる業務が1つ見つかれば、それに関わる時間・コスト・管理が丸ごとなくなります。「捨てる」がいちばん強い改善策なのです。

今すぐできる「業務の断捨離チェックリスト」(10問)

自社の業務にBPRの余地があるかを確認するチェックリストです。当てはまる数が多いほど、BPRの効果が出やすい状態です。

業務の断捨離チェックリスト(10問)当てはまる?
「なぜやっているか」を誰も説明できない業務がある□ はい  □ いいえ
作成しているが誰も読まない・参照しない資料・レポートがある□ はい  □ いいえ
同じ情報を複数のシステム・ファイルに二重入力している□ はい  □ いいえ
確認・承認フローが3段階以上あるが、ほぼ素通りしている□ はい  □ いいえ
会議が多いわりに「で、結論は?」という状況になりやすい□ はい  □ いいえ
以前は必要だったが、今は形骸化していると感じる業務がある□ はい  □ いいえ
特定の人がいないと判断できない業務が複数ある□ はい  □ いいえ
メールのCCに全員を入れる文化・慣習がある□ はい  □ いいえ
紙の書類に印鑑を押す工程が1つ以上ある□ はい  □ いいえ
「昔からそうしているから」という理由だけで続いている業務がある□ はい  □ いいえ

3つ以上当てはまった場合、業務の断捨離で削減できるコスト・時間が相当あると考えられます。5つ以上なら、ツール導入より先にBPRを行うことを強く推奨します。

BPRの実践事例 「捨てる」で本来の仕事に集中できた

世界的タイヤメーカーのブリヂストンは、開発部門のBPRでドキュメント制作・データ転記などのルーティンワークをアウトソーシングし、設計開発業務を約15%効率化しました。現場から「本来の業務に費やす時間が増えた」「品質のばらつきが低減した」という声が上がったといいます。

中小企業でも同じことは起きています。apro-incが支援した事例でも、週1回の報告書作成(所要2時間)を廃止し、代わりに週1回15分のチャット報告に切り替えたことで、担当者1人あたり月8時間の工数削減を実現しました。「なくしてみたら誰も困らなかった」という発見が、BPRの面白いところです。

AYAKA’s View

「業務を効率化したい」という相談で、真っ先にツールの話をする経営者は多いです。でも私は必ず「まずどの業務をやめますか?」と聞くようにしています。

捨てることへの抵抗感は、誰にでもあります。「長年やってきたこと」「誰かがやってくれていること」をなくすのは、心理的なハードルが高い。でも、やめてみると「なんであれをやっていたんだろう」と思うことがほとんどです。

「自社のどの業務を捨てればいいかわからない」「ECRSを使って業務を整理したい」、そんなお悩みはぜひapro-incにご相談ください。業務の棚卸しからBPRの設計・実行まで一緒に進めます。

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