こんにちは、apro-incの業務改善・DXコンサルタント、AYAKAです。
「kintoneでアプリを作ってほしい」と頼まれたものの、一体どれくらいの工数がかかるのか見当がつかず、返答に困ったことはありませんか?kintoneはノーコード・ローコードツールであるため、従来のシステム開発よりも早く作れる反面、要件が膨らみやすく、納期がズルズルと後ろ倒しになるリスクも孕んでいます。
今回は、PM(プロジェクトマネジメント)の知見を活かし、kintone開発における見積もりの手法と、精度を上げるためのポイントをご紹介します。
なぜkintoneの見積もりは難しいのか
kintone開発の最大の特徴は、「作りながら考える」ことができる柔軟性にあります。しかし、この柔軟性がプロジェクト管理においては以下の課題を生みます。
- 要件の肥大化(スコープクリープ): 「ついでにこれも」という要望が無限に出てくる。
- 「すぐできる」という誤解: 画面を作るのは一瞬でも、複雑な計算やプラグイン設定、権限構築には時間がかかる。
- テスト工数の見落とし: アプリ間の連携や通知設定が増えるほど、動作確認の時間は指数関数的に増える。
精度を高める3つの見積もり手法
1. WBS(作業分解構成図)による積み上げ式
WBSを一言でいうと日本語では「作業分解構成図」と呼ばれます。 大きな目標(例:カレーを作る)を、誰でも実行できるレベルの小さな作業(例:ジャガイモの皮をむく)まで階段状に分解していく手法です。
WBSは料理のレシピの工程表のようなもので、それを作ることで『いつ・誰が・何を』すればいいかがハッキリし、プロジェクトの成功率が格段に上がるんですよ」と伝えると、納得感が得られやすいです。
開発を最小単位のタスク(例:フィールド配置、JSカスタマイズ、検証、マニュアル作成)に分解し、それぞれの所要時間を合計します。
- メリット: 根拠が明確で、漏れが少なくなる。
- ポイント: 「バッファ(予備日)」を合計工数の20%程度あらかじめ乗せておくのがPMのコツです。
2. 三点見積もり法
「楽観値」「最確値」「悲観値」の3つのシナリオで算出する方法です。
- 楽観値: 全てがスムーズにいった場合
- 通常値: 最も可能性が高い現実的な工数
- 悲観値: トラブルが多発した場合
(楽観値 + 4×最確値 + 悲観値) ÷6
この計算式を使うことで、希望的観測を排除した客観的な期待値を導き出せます。
その計算式はPERT(Program Evaluation and Review Technique)と呼ばれる手法で使われる「加重平均」の式ですね。この式を使うと、「楽観的な期待」にブレーキをかけられるのが最大のメリットです。例えば、以下の見積もりを比較してみましょう。
- 楽観値: 2日(絶好調なら!)
- 通常値: 5日(いつも通りなら)
- 悲観値: 14日(トラブルが重なったら…)
- 単純平均(3で割る場合): (2 + 5 + 14) / 3 = 7日
- PERT(6で割る場合) : (2 + 4 × 5 + 14) / 6 = 6.0日
単純平均だと、悲観値(14日)に引っ張られて見積もりが長くなりすぎてしまいますが、PERTを使うことで、「通常値の5日に近いけれど、ちょっとリスク(悲観値)を考慮して6日にしておこう」という、非常に絶妙で説得力のある数字が導き出せるのです。
3. ストーリーポイント(相対比較)
「前回のAアプリ制作を『3』としたら、今回のBアプリは機能が多いから『5』くらいかな」と相対的に見積もる方法です。
kintoneのように類似アプリを量産する場合、過去の実績との比較が非常に有効です。
スケジュール遅延を防ぐための運用ルール
見積もりを立てたら、以下の2点をステークホルダーと合意しておきましょう。
- フェーズ分け(段階的リリース): 100点満点のアプリを目指さず、まずは「必須機能のみ」で運用開始する。
- プラグインの活用検討: 自作(JSコード)かプラグイン利用かを早めに判断する。
AYAKA’s View
kintone開発において「見積もりができない」最大の原因は、「完成の定義」が曖昧なことです。kintoneはいくらでも作り込めてしまうからこそ、最初に「今回はここまでやる」という境界線を引く勇気を持ってください。正確な見積もりは、開発者だけでなく、それを使う現場の安心感にも繋がりますよ!
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