【GW特別コラム】子どもにスマホを渡す前に デジタルネイティブ世代に「退屈」を贈る理由

大型連休特別連載

GW特別連載「デジタルの向こう側へ 五感をひらく8日間」第7日目(こどもの日)

こんにちは、apro-incの業務改善・DXコンサルタント、AYAKAです。

GW7日目、こどもの日です。今日は少しだけ「子育て」と「デジタル」の話をさせてください。

お子さんのいる方に聞いてみたいのですが、「ひま〜」「何もすることない」と言ってきた子どもに、スマホやタブレットを渡したことはありますか?


「退屈」は問題ではない

私には子どもはいませんが、仕事柄、さまざまな企業の若手社員と話す機会があります。そのなかで最近気になっていることがあります。「ゼロから何かを考えてください」というと、戸惑ってしまう若手が増えているような気がするのです。

タスクを与えられればこなせる。指示があれば動ける。でも「自由にやってみて」という余白に、少し不安そうな顔をする。

これはその方たちのせいではありません。幼いころから「退屈する前にコンテンツが来る」環境で育ってきた世代に、自然と起きてしまうことかもしれないのです。


「ぼーっとする時間」に脳は何をしているか

脳科学の研究によると、人間がぼんやりしているとき(何も考えていないように見えるとき)に活性化する神経回路があります。「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれるものです。

このDMNは、自己認識・記憶・ひらめきに深く関わっています。ぼーっとしているとき、脳は実はとても活発に動いていて、記憶の断片をつなぎ合わせたり、まったく関係のない情報を結びつけたりしています。これが「ひらめき」の正体です。

退屈な場面ほど、DMNと実行ネットワークが並走して新しい組み合わせを生み出すという研究もあります。ビートルズのポール・マッカートニーが夢の中で「イエスタデイ」のメロディをひらめいたのも、このDMNの働きによるものといわれています。

つまり「ぼーっとしている」ように見える子どもの頭の中では、創造性の火花が散っているかもしれない。「ひま〜」という声は、実は脳が育っているサインなのです。


スマホが奪うもの

子どもが「ひま」と言ったとき、すぐにスマホやタブレットを渡すと何が起きるでしょうか。

退屈がなくなります。コンテンツが次々と流れ、子どもはそれを消費し続けます。表向きは「楽しそう」です。でも脳のなかでは、DMNが活性化する前に、次の刺激が来てしまいます。

子どもの「ごっこ遊び」や「一人遊び」では、空想の世界を自由にさまよいながら、大人顔負けの発想が生まれることがよくあります。これもDMNの非意図的マインドワンダリングが起きているからです。でも画面を見続けている時間は、その空想の余地が生まれにくい。

WHOは2歳未満のスクリーンタイムをゼロに、2〜5歳は1日1時間以内にすることを推奨しています。決して「スマホ=悪」ではありませんが、「退屈する前にスマホを渡す」という習慣は、子どもの脳が育つための余白を削ってしまう可能性があります。


「退屈」の処方箋 ほんの少しの「待つ」時間

では、何もしてあげなければいいのか。そうではありません。

大切なのは、子どもが「ひま〜」と言ったとき、すぐに解決策を与えないこと。5分だけ待ってみることです。

その5分の間に、子どもは自分で何かを始めます。葉っぱを拾ってみる、空の形を眺める、石を積み上げる、頭の中でお話を作り始める・・・

これがDMNの働きです。

親にとっては少しだけ「待つ」勇気が必要ですが、その5分が子どもの脳に「自分で考える回路」を育てます。DX推進に必要なのは「課題を自分で見つける力」ですが、その根っこはここにあるかもしれません。


組織にも「余白」が必要 ビジネスへの応用

これは子育てだけの話ではありません。

会議を詰め込みすぎた組織、常にタスクで埋まっているチーム、すぐにSlackで返答することを求める文化、これらは大人版の「退屈させない環境」です。

でも、イノベーションの多くは「余白」から生まれます。意図的に何もしない時間、雑談、散歩、窓の外を眺める時間。これはサボりではなく、組織のDMNを活性化させる投資です。

Googleが「20%ルール」(業務時間の20%を自由な時間に使う)を導入したのも、この余白からGmailやGoogleマップが生まれたのも、同じ原理です。


AYAKA’s View

こどもの日に、子どもたちへ贈りたいものは「コンテンツ」ではなく「退屈する時間」かもしれないと思っています。

「ひま〜」と言ってきたとき、5分だけ待ってみてください。その沈黙の中に、その子だけの世界が生まれているはずです。

私たち大人も同じです。このGWの最終日前夜、スマホを少し遠ざけて、ぼーっとする時間を作ってみてください。明日の最終回コラムでは、この8日間を振り返って、デジタルとアナログの「あいだ」についての話をしたいと思います。

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